部活動のファンドレイジング
年末年始で、高校の部活のOB会などもあり、最近の部活動事情を聞く機会があったので、 それについて考察してみたいと思います。
●部活動の金銭事情
ぼくは、中学高校と公立高校のバレー部に所属していました。
男子バレーというのは、サッカーや野球と比べてしまうとけっこうマイナーな方の部類でして、 近くにそんなに学校数がなかったので、よくバスやら電車やらで練習試合にいきました。
自分が学生のときはほとんど意識していなかったけど、当然ながらそれにはけっこうなお金がかかっているわけです。
うちの学校は田舎だったので、都会の学校まで2時間ほどかけて練習試合にいくと、マイクロバスで4万(最近値上がりしたそうで7万)はかかっていたそうです。
さて、そうした部活動の財源というものは、
①学校や市からの補助、
②生徒の部費、
③OBの寄付
なんかから成り立っていると思います。
この中で、学校からの補助というのは、少子化やらなんやらで年々薄くなっていますし、 生徒から集める部費に関しても、それぞれの家庭に経済力の差がある限りは、そこまで高額な負担は望めません。
そうなると、キーになってくるのは、「寄付」になります。
●ファンドレイジングの必要性
ファンドレイジング(Fundraising)とは、民間非営利団体(Non-Profit Organizations:日本では公益法人、特定非営利活動法人、大学法人、社会福祉法人などを含む)が、活動のための資金を個人、法人、政府などから集める行為の総称。主に民間非営利組織の資金集めについて使われる用語であるが、投資家や民間企業に関連する資金集めに使われる場合もある。-wikipedia
近年、特にNPOなんかで注目され始めているファンドレイジングですが、こうした学校の部活動においてもノウハウは応用できるものだと思います。
実は、ぼくは一応、「准認定ファンドレイザー」(http://jfra.jp/cfr/what/)という資格を持っていまして(まあ大したものではないのだけれど)、 こうしたノウハウには多少は精通しています。
●具体的提案
では、学校の部活動に対して寄付を集めるにはどうすればよいのか?
実は、ぼくの母校は何年か前に創部以来初の甲子園に出場したんですが、 そのときは、たくさんの卒業生(野球部以外からも)や地元の方々から総額数千万円の寄付をいただいたそうです。
しかし、それは、創部100年で初めて、しかも野球というメジャースポーツの全国大会だからです。 そこに出るための日々の練習試合費など、話題性のないものに対しては、広く集めるのはなかなか難しいといえます。
そうなると有力なのは、OBOGから集める方法です。
例えば、こういった方法はどうでしょうか?
①部活動のブログを作り、生徒自身に活動報告をしてもらう
OBといっても、何年も前に卒業していまい、今は全く関わりを持っていない人も多いと思います。 そういう人に対して、現在の部活動の現状や実際のメンバーを見てもらうことで、 それらを身近に感じ、関わりももってもらいやすい環境を作り出します。
また、生徒自身も、自分たちの活動を外へ発信することで、普段の練習を振り返ったり、 いろいろ考えることにもつながります。
②寄付者の名前をブログや部室等に掲載する
寄付というものは、何か対価を求めてやるものではありませんが、 せっかく寄付してくれた方に、何か特別なお礼、プレミア感を与えることで、それが継続したものにつながりやすくなります。
熊本城の一口城主なんかが有名ですね。 (参考:http://chiikigoto.com/2012/09/22/01-18/)
③実際に顔を合わせる機会をつくる。OB戦やOB会など
Face to Faceの関係になれば、実際にがんばっている生徒たちになにかしらしてあげたいというのが人情です。
そのために、OBと試合や交流する機会を設けたり、授業参観ならぬ、部活参観日なんかも設けてもよいでしょう。 年数回、これを行うだけでも、どんどん上下のネットワークが形成されて、いざというときに役に立つものにもなるでしょうし、 技術的な指導も期待できます。
これらに含まれる特に重要な考え方としては、
・学生のうちからお金のことを意識させるよう積極的にコミットさせる
・OBのネットワークを形成する
です。
現在の生徒は、将来の支援者です。
ブログの作成などを通して、自分たちが支援されていることを意識させれば、 将来的に自分がOBになったときに支援してくれやすくなるといえます。
部活動の目的というものは、ぼくはただ勝つことではなく、 それを通して生徒が成長することだと考えます。
そのためには、ただひたすら練習をがんばる、というだけではなく、 さまざまな経験を積ませたり、いろいろな人との関わりを持たせたり、 自分たちでいろいろ考えさせたりという機会を設けることが重要だと思います。
そういった観点からも、こうしたファンドレイジング手法は有効なのではないでしょうか?
でわでわー
![]() ファンドレイジングが社会を変える改訂版 [ 鵜尾雅隆 ] |
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